慢性便秘の治療 | 株式会社メディケアー
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慢性便秘の治療

慢性の便秘がなかなか解消せず、市販薬を飲みながら悩み続けている人が多いようだ。約1年前に医療用便秘薬が約30年ぶりに発売され、その効果も少しずつ知られるようになり、医療機関を受診する人も増えてきたという。

日本初の便秘外来を開設し、診療を続けている順天堂医学部総合診療科研究室の小林弘幸教授に最近の便秘治療の現状を話して貰った。

軽く考えないで
分かっているようで、分かっていないのが便秘。便秘の定義は3日以上出ないか、毎日出ても、量が35㌘(ピンポン球大)以下。医師でも知らない人が多い。便秘を軽く見ると痛い目に遭う。性格や健康状態も変え、人生も変えてしまう疾患だ。

順天堂大の便秘外来は現在、初診は6年待ち。便秘だから待てる。患者は60歳以上がほとんど。高齢者になると男女比は一緒。糖尿病やパーキンソン病、うつ病になると100%便秘になることからも、いかに便秘になる人が多いかわかる。

統計で便秘の人を見ると、年齢別では若いうちは女性が多い。生理前のホルモンの影響と無理なダイエットが原因と見られる。下剤の積極的投与は絶対に便秘を改善できない。便秘で市販薬を使う人が多いが、異常な使い方をする人が多い。「毎日出ないと駄目」という強迫観念を持つと、大量に使うようになる。

下剤のうちでも多い刺激性下剤(大腸粘膜を刺激して蠕動運動を起こす)は、多く取りすぎると、刺激が過ぎて腸に炎症を起こしてしまう。

運動不足と加齢
最近は便秘で受診する人が増えてきた。1年前に出た処方が知られてきたからのようだ。以前は本当に重症な人しか、病院に来なかった。治療では「毎日出る必要はない。個人差があるのが普通で、週2~3回出ればいい」と話し、理解してもらう。それと残便感にとらわれないこと。

便秘の解消には毎日の生活習慣が最も大事。朝食をしっかり取り、適度な運動を継続的に行い、食事は脂肪分を減らし、繊維質の多いものを取るよう指導する。食物繊維が不足すると、腸の内容物が減り、腸管への刺激が減って蠕動運動が落ち、内容物が停滞して便秘になる。

便秘の高齢者のアンケートを見ると、原因は運動不足と加齢と答えており、よく分かっている。腸に良いヨーグルトもよく取っている。

新しく発売された慢性便秘の処方薬ルビプロストン(商品名アミティーザ)は腸管内に腸液を分泌させ、便の水分を増やす働きがある。

データでは、投与24時間以内で半数に自然便通があり、週2回だった人が5~6回の便通になっている。いきみも減り、便も柔らかくなって、残便感も改善されると報告されている。数字で表すのは難しいだろうが、重症社が「よくなった感じ」とあるので、なかなかいいようだ。

自律神経の関係では、ストレスは交感神経を高めるので、腸の蠕動が落ちる。便秘を直すにはリラックスして副交感神経を高め、腸内環境を改善する必要がある。