専門医に聞く 骨粗鬆症
ー骨粗鬆症にはどんな症状がありますか。
骨粗鬆症になると、弱い力でも骨が折れやすくなります。怖いのは、初期には自覚症状がほとんどないことです。痛みを感じたときには、症状が進んでいて、すでに骨折していた、という患者さんが数多くいます。背骨や手首、腕、太ももの付け根部分に骨折が起こることが多く、背骨が体の重みでつぶれて圧迫骨折してしまうと、背中が曲がったり、背中に痛みが生じたりします。特に太ももの付け根の骨折は、入院や手術が必要になり、寝たきり
になる原因となります。
ー寝たきりになれば介護が必要になりますね。
2010年国民生活基礎調査では、要介護となった原因で最も多いのは「脳卒中」(24.1%) で、次に「認知症」(20.5%)が続きます。3番目に多いのが骨粗鬆症が関係している「骨折・転倒」で9.3%です。健康で元気でいるためには、骨折が起こる前に予防、治療することが大切です。
ーどのように予防・治療すればいいですか。
特に注意が必要なのは、閉経後の女性です。女性ホルモンの減少で骨密度が急減するからです。骨粗鬆症はお年寄りの病気と思われがちですが、女性は50代の時に検査を受けることをお薦めします。整形外科を訪ねて、血液検査や尿検査でわかる骨吸収マーカーの測定や骨密度測定器を使って骨密度を測定し、骨の状態を調べてください。骨粗鬆症には早期治療が大切です。
ー早期で見つかった場合、どのように治療しますか。
骨粗鬆症と診断された場合、治療は薬が中心になります。バランスのよい食事を取り、運動をすることは大切ですが、それだけでは骨の回復や骨折予防は難しいからです。近年、治療薬の進歩はめざましく、骨量増加に大きな効果のある新薬が次々と登場しています。治療により骨のもろさに歯止めを掛けるためには、根気よくお薬を飲み続けることが必要です。
かかりつけの整形外科を持ち、骨の健康状態を定期的に調べましょう。骨の健康
に気を配り、元気な高齢者を目指しましょう。