しもやけ 予防と改善、マッサージで
1日の気温の差が10度を超える日もある春先に注意したいのが「しもやけ」だ。冬だけの症状ではなく、高齢者などに多くみられる。急な温度差を避けるとともに、保湿クリームなどを上手に使う事で症状改善につなげたい。
体が冷えてしもやけになると、手足の指や鼻などが赤く腫れる。入浴などで温まると痛みやかゆみを感じる。冷たい風に当たると、耳がジンジン痛くなる例もある。原因は体の末端の血行障害だ。血管の拡張・収縮の調整機能がうまく働かなくなり、血管から染み出た物質によって炎症が起きる。
体質は遺伝する?
手洗いや水仕事などで手が水でぬれたままだと、気化熱で急速に熱が奪われて冷える。また、雪や雨で靴下がぬれてそのままにしておくと、足が急速に冷える。靴の中で足が蒸れた際も同様だ。しもやけになりやすい体質は遺伝すると言われており、しもやけの家族がいたら要注意だ。
しもやけ、ひび、あかぎれなどの皮膚のトラブルは、寒い冬に多く発症する。しかし「冬が過ぎれば安心というわけではない」と左門町皮膚科(東京・新宿)の西川武二院長は注意を促す。「温度差が重要なポイント」だからだ。
たとえば、家を出て電車に乗り学校や会社に行く場合、室内や電車内は暖かいが、途中の道路では寒さを感じ、体も冷える。1日のうちに何度も温度差が生じると、毛細血管にダメージがたまり、しもやけができやすくなる。春先、夜はまだ寒いが、昼間は気温が上がり、1日の温度差が10度を超える日も出てくる。
水虫と勘違い
しもやけはかつて、寒くても外で遊びまわる子供などで多くみられたが、最近はしもやけの症状をよく知らない人も多い。このため、手荒れやあかぎれと間違えるケースも多い。足にできたしもやけは、かゆみから水虫と誤解することもあるが、水虫薬を使っても症状の改善は見込めない。
30台女性は寒い冬もハイヒールを履くことが多かった。ある日、右足にかゆみを覚えた。帰宅後に見ると、小指の付け根が赤くなっていた。水虫になったと思い、皮膚科を受診すると、しもやけと診断された。女性は、血行を良くするビタミンEを配合した飲み薬と保湿用のクリームを処方された。きつい靴を履かないようにとの助言もあった。これらを実践したところ、数日で症状が改善した。
野村皮膚科医院(横浜市)の野村有子院長は「高齢者や子供にしもやけは多いが、それ以外の人でも起こる」と話す。野村院長はビタミンE入りの保湿用クリームで手足を上手にマッサージする方法を患者に指導する。実践すれば、治療や予防の効果が得られるという。
指にとるクリームの量は人差し指の第一関節より先にたっぷりつける程度。これが片方の手または足の分だ。クリームを擦りこむようになじませた後、指の付け根から指先に向かって指を1本ずつほぐすようにマッサージする。爪の両側や根元もつまむようにほぐす。手の親指と人さし指の間や、足裏のツボなどを指圧してマッサージすると血行がよくなる。手袋やゆったりとした靴下も活用しよう。
「マッサージを毎日、夜寝る前や風呂上りに実践すれば、冷え防止にもつながる」と野村院長は訴える。ケアを続ける目安は「暖房が要らなくなるまで」だ。ケアをせず、しもやけになっても症状を放置すると、悪化して患部がぐじゅぐじゅになってしまう。その場合はステロイド系の塗り薬や抗生物質を使うという。
ただ、寒さが和らいでも症状が長引く場合、しもやけではなく膠原(こうげん)病などが隠れている可能性もある。早めに医療機関を訪れるよう注意したい。