骨粗しょう症の新治療薬

骨粗しょう症の推定患者数は全国で約1300万人。骨折で病気に気付いたときには、
生活の質が落ち、悪くすると寝たきりにもなりかねないが、実際に治療を受ける
人は約3分の1の400万人強という。薬剤治療が中心だが、なかなか治療の継続が
うまくいかないという問題もある。

そんな中、半年に一度の注射でOKという新治療薬デノスマブ(商品名ブラリア)
が登場。効果が注目されている。

「骨粗しょう症では、骨折の予防がますます重要になっている。骨吸収(破壊)
抑制剤のデノスマブは待ちに待った薬の一つ。骨量増加や骨折予防でも、従来
の薬より一段高い効果が期待できる。しかも半年に一度の注射で高い治療継続性
も保てそう」と国立国際医療研究センターの中村利孝・総長特任補佐(整形外科
学)。

「2年前、骨形成促進薬テリパラチド(商品名テリボン、副甲状腺ホルモン)が
登場した時のようだ。この2つの薬で新時代に入る」と話す。骨粗しょう症の主な
骨折は背骨の椎体(ついたい)骨折や大腿(だいたい)骨近位部骨折、手首の
骨折など四つ。

特に大腿骨の骨折は寝たきりに直結し、命にも関わってくる。2007年の発生数は
14万8千人。すでに年間20万人近いとみられる。高齢者ほど多く、90代は非常に
多いという特徴があるという。

「近畿大医学部の報告によると、骨粗しょう症で患者が治療を受けるきっかけは、
計518例の約半数が医師からの勧め。26%が健康診断で、自覚症状があったという
人は20%以下と少ない。骨量測定や健康診断を一般化することが必要で、医師は
骨折高リスクの人を積極的に見つけ出して治療を勧める必要がある」

治療薬の数や種類はだいぶそろってきた。標準的な骨吸収抑制剤ビスフォスホ
ネート製剤は、毎日、週1回、月1回などさまざまなものがある。しかし用法や
用量などで少し使用がしにくいという点があるようだ。

実際の日常診療では、治療継続に大きな問題が二つある。近畿大の調査でも、
治療の継続は大変だと思っている人が55%もいる。もう一つは効いているのか
どうか、治療効果が分かりにくいと思う人が84%いる。骨量増加がゆっくりで、
骨が強くなったということが実感されにくい」

その点テリパラチドと今回のデノスマブは骨量増加が速いという。抗体製剤と
呼ばれるデノスマブは、破骨細胞を活性化させる物質を狙い撃ちして作用を
抑制する。

「海外の7千例の大規模試験では、椎体圧迫骨折のほぼ7割を抑制。従来はその
半分ほどだった。大腿骨の骨折では40%の抑制効果。特徴的なのは、75歳以上
では60%以上を抑制すること」骨密度増加効果は従来のビスホスホネートと
同様だが、その後も直線的に増加。腰椎は3年で10%、大腿骨は3年で5%増加する。

中村さんは「長期的にも6年で腰椎で16%、大腿骨で7,5%増加する。非常に大き
な増加だ。デノスマブは幅広く多くの人に勧められる。高齢者にはより有効と
思われる」と話している。

神奈川新聞 健康欄より