食を楽しむ免疫学

糖尿病の人は歯周病と、心疾患、脳梗塞、肺炎、糖尿病、低体重児などとの関連性が言われて
います。明らかになっているもの、いまだよくわからないもの、否定的なものなど、今後の調査、研究が待たれています。これまでわかっているものを述べます。

糖尿病では歯周病が第6の合併症として認められています。糖尿病の人はそうでない人と比べ歯周病の発症が2.6倍高くなります。また、1型糖尿病でも2型糖尿病でも血糖コントロール状態を現わすヘモグロビンA1cが7%(合併症予防のための目標値)を越えると歯周病の進行が促進されます。

また歯周病の治療によって糖尿病の血糖コントロール状態が改善します。糖尿病患者にとって積極的な歯科治療、口腔(こうくう)ケアが必要なことを示しています。アメリカの調査では歯周病のある糖尿病患者が心臓病で死亡する確率は2.7倍高く、腎臓病で死亡する確率は4.1倍高かったそうです。

肺炎予防にも要介護高齢者に歯周病があるからといって、必ずしも呼吸器疾患を高頻度で引き起こすとは限りません。しかし、肺炎の予防には徹底した口腔ケアが必要です。口腔ケアには肺炎の発症を40%減少させる効果があります。

2011年の日本人の死因は、がん、心臓病についで肺炎が3位になりました。年間12万人が肺炎で亡くなっていますが、ほとんどが高齢者です。高齢者の肺炎の70%は誤嚥(ごえん)性肺炎で、老化や脳血管障害の後遺症などで飲み込みが悪くなったり、咳(せき)する力が弱まったりすると、だ液、口の中の細菌や食べかす、逆流した胃液などが気管に入り込み発症します。

口腔ケアとともに、食事をとる姿勢、食形態・食内容への配慮、摂食嚥下訓練なども肺炎予防に効果的です。出産では、歯周病のある妊婦は、早産・低体重児出産に対して3.75倍、早産に対して1.70倍、低体重児出産に対して2.11倍のリスクがあります。

歯周病の治療がこれらを抑制できるかはまだわかっていません。しかし、出産予定の人は口腔にも関心を持って欲しいと思います。最近、アメリカ心臓協会が歯周病と心疾患との関連性に疑問があるとの声明を発表しました。そのため、歯周病と心血管疾患との関連性について再考する必要があるとする意見もあります。

しかし、口腔の健康が全身の健康に欠かせない無いことはわかってきています。毎日のブラッシングも体の健康を支える一つなのです。